エゾ鹿肉を食す

鹿の足跡

北海道でエゾ鹿の被害が深刻という話を以前掲載しましたが、メロンやタコの販売でお世話になっている小平町でも深刻で、農家では畑に電気柵を張り巡らして被害を防いでいるほどです。
冬になると食料が無くなり広範囲で駆けめぐるので、山の方向を見ると雪に切り取り線みたいなものが見えます。
これが鹿の足跡です。

しかしながら、こんなに身近にエゾ鹿が現れるのですが、食用肉として流通させるには、仕留め方(鉄砲の弾のあてかた)や山から運び下ろすことが難しく、さらには専用の加工場で処理をしなければならないので、肉として絶対流通量が少ないのが現実です。

また、日本では特有の獣臭があるジビエ(狩猟肉)を食する文化が根付いていないので、流通は比較的食べやすい部位だけになり、かなり歩留まりが良くありません。

エゾ鹿の被害を防ぐためにも、食べる文化を根付かせることが大切・・・と、いうことで、アバラ肉(リブ)周辺を調理してみることにしました。

よく流通されている鹿肉は赤身が中心でヘルシーと言われていますが、この周辺は脂や筋が多いのでかなり濃厚です。

エゾ鹿のアバラ肉

どうですか、かなりワイルドでしょ!

ジビエの本場、フランス流にシチューやワイン煮込みも良いのですが、今回は他の肉との違いを楽しむために、骨付き肉の角煮(ようするに醤油煮です)にしました。

エゾ鹿肉は、かなり歯ごたえがあります。さらにこの部位は筋もたくさん含まれています。
圧力鍋で作ると早く出来るのですが、なにせこの量なので、寸胴鍋で作りました。

鹿肉を寸胴鍋で煮込む

鹿肉を寸胴鍋で煮込む

1.アバラ肉を適度な大きさに切り分けます。
肉や筋は、骨から容易に切り離せる部分は切り離し、それ以外はスペアリブにします。
2.寸胴鍋に肉を入れ、肉が隠れるくらいのたっぷりの水を入れ下茹でします。
沸騰させると物凄いアクが出るので、こまめに取り除きながら、臭み取りのスライスしたショウガを入れて1時間ほど茹でます。
3.脂もかなり出ますので、この段階で上澄み脂をできるだけ取り除きます。

4.醤油・砂糖・日本酒・にんにく(乾燥スライスも可)・粒胡椒を入れて味付けします。
調味料の量は適量です。骨が付いている分、肉の量がわからないからです。
ただ、さらに2時間ほど煮込みますので、ラーメンのスープぐらいの醤油加減にします。

合計3時間煮込み、火を止め30分ほど浸けこみ、味を染みこませて完成です。

エゾ鹿リブ醤油煮の完成

エゾ鹿・骨付きアバラ肉の角煮の完成! これで4分の1の量です

野趣あふれる味ですが、ニンニク・ショウガ・粒胡椒のおかげで、とても食べやすくなりました。
スペアリブをかじると、自分のギラギラとした野生が呼び戻される気がします(笑)。
骨から切り離した筋は臭みも無くトロトロで、肉とサンドになった部分は絶品ですね。

残ったスープはラーメンのタレになりました。

今回の肉はハンターから頂いたものなので商品化はできませんでしたが、ご要望が多ければ、販売ルート作ろうと思っています。
興味がある方は「お問い合せ」から、一報ください。